こんにちは。元中学受験塾講師のモキチクワです。
『普通の小学生』の中学受験を応援&サポートしています。
当ブログをおとずれてくださり、ありがとうございます。
『普通の小学生』とそのご家族にとって、中学受験はとても大きくて登るのが大変な「山」です。
登っていくのも難しいし、いったん登り始めると下りることも簡単ではない…
でも、うまく登りきることができたときの「達成感」は素晴らしいものがありますし、
登る過程で身に付けたこともお子さんの一生の財産になり得ます。
そんな中学受験にお子さんと一緒に取り組む、親御さんの心がまえとして、
中学受験はお子さんの成長の過程である
ということを忘れないでいただきたいと、モキチクワは考えています。
中学受験で「御三家」レベルの学校に合格する割合は??
中学受験では、どうしても「偏差値が高い学校」への合格が目立ちます。
むしろ、「偏差値が高い学校への合格こそが中学受験」といったような雰囲気さえあります。
しかし現実には、全中学受験生のうちの、どれくらいの人数が「御三家レベル」の中学校に合格するのでしょう。
モキチクワの勝手な調査による、具体的な数字を表してみたいと思います。
2024年1~2月の首都圏私立国立中学校受験者は、52,400名、とされています(首都圏模試センター推定)。
その中で、「御三家レベル」(というのも漠然としているレベル設定ですが)の中学校を
四谷大塚「合不合判定テスト」偏差値65以上の学校、と勝手に定義し、合格者数を調べてみました。
(あくまで「合格者」です。「進学者」ではありません。)
すると、偏差値65以上の中学校に合格したお子さんの人数は、約8300名、となりました。(意外と多いような気もしますが…)
これはあくまでも「合格者数」なので、この中には同じ生徒が複数校合格している数も含まれています。
受験者全体が52,400名ですから、
8300÷52400≒0.158…
つまり、偏差値65以上の学校に合格するお子さんの割合は約15.8%
となります。(しつこいですが、重複合格も含まれています)
100人いたら上位15~16人くらいが「御三家レベル」の中学校に合格する、ということですね。
85%のお子さんは「御三家レベル」の中学校には合格しないわけです。
これは、塾講師としての肌感覚としても、相応の数字ではないかと感じます。
この割合を、「多い」と感じるか「少ない」と感じるかは、親御さん次第ですが、
少なくとも「簡単ではない」とは言えると思います。
「志望校」に合格したらゴール、ではない
あまりにも中学受験が大変なので、親子で「中学受験で志望校に合格する」ことだけが目的になってしまいがちです。
また、「とにかく志望校に合格すればいい」「合格したら勉強をしなくて済むから、とにかく今頑張れ」と言われながら勉強をしてきたために
せっかく合格した中学への進学後に勉強する意欲を失い、「深海魚」となっていくお子さんもいます。
私立中学校へ進学する、ということは、
もちろん「高校受験がない」「部活動に熱中できる」という側面もありますが
「大学受験やその先へ向けて、中高6年間をかけて、しっかりと学んでいく」ということでもあります。
公立の中学高校で学び、塾講師となり、私立中高生の学校補習をしたり、私立中高へお邪魔する機会のあったモキチクワからすると
私立中高での学びは、公立校と比べたら、広く・深く・難易度の高いものであり得る、という認識があります。(公立校を否定しているわけではありません)
中学受験は、一つのチェックポイントにはなりうるかもしれませんが、「ゴール」にはならないわけです。
これからの「大学受験」の変化
「高大接続改革」をご存じでしょうか。
高等学校教育・大学教育・大学入学者選抜を一体的に改革し、これからの予見困難な時代に新たな価値を創造していく力を育もうと、文部科学省が掲げている改革のことです。
(文部科学省HP参照https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/koudai/detail/1402115.htm)
この改革の一環として、「高大連携」という取り組みが昨今盛んに行われています。
文字通り、高校と大学が連携して、生徒の興味関心を育てて、大学以上の高等教育につなげていく取り組みです。
この流れの中で、「学校推薦型での大学進学」という選択肢も増えてきつつあります。
大学受験全体でみても、「学校推薦型」「総合選抜型」などの推薦による大学進学がすでに約50%を占めています。(私大においては、すでに56%以上が推薦型)
今後の大学受験は、さらに「推薦」というルートでの大学進学が増えていくのでしょう。
そんな中ではやはり、「私立中学に合格した」けれど勉強しなくなってしまった、という状態は避けたいところ。
「中学に進学しても主体的に学べる生徒であり続ける」
そんな視点を、中学受験の勉強をしている最中から持っておく必要があるのではないかと思います。
成長過程の中の「中学受験」
そしてもう一つ、モキチクワが親御さんに伝えたいのは
中高6年間での成長もある
ということです。
当然のことなのですが、中学受験に一生懸命になるあまり、忘れてしまいがちです。
以前受け持っていたあるお子さんは、中学受験では志望校に合格できず、公立中学に進学しました。
そして3年後、高校受験において都立トップ高校に合格した、と報告をしてくれました。
そのお子さんは、正直なところ、中学受験の勉強をする中では、どの科目もあまり「ぱっとした」成績ではありませんでした。
中学の3年間で、自覚を持って勉強に取り組むことができたのだと思います。
もし、お子さんが中学受験において、第一志望の学校に合格できなかったとしても、
お子さんに実力があれば、他の私立中学であれ公立中学であれ、
中学高校の6年間でしっかりと成長して、その先へ進んでいけるはずです。
そんな実力を鍛えるための中学受験である、という考え方を心のどこかに持っておくとよいのではないかな、と思います。
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