こんにちは。元中学受験塾講師のモキチクワです。
中学受験塾の講師をしている中で、多くのお子さんたちと接してきました。
職場で唯一の女性だったということもあり、子どもたちだけでなく保護者の皆さんともいろいろなお話ができたのではないかと思っています。
お子さんたちについて言えば、偏差値30台のお子さんから70台のお子さんまで、本当にさまざまです。
性格も一人ひとり違い、ご家庭の環境も違います。
その中から、印象的なお子さんの例をご紹介していきます。
このブログに来ていただいた『普通の小学生』の保護者の方々の参考になれば幸いです。
スポーツ少年の中学受験
ある男の子は小学3年生ころから塾に通ってきてくれていました。
塾に通いながら、地元のサッカーチームに所属して練習に励んでいたようです。
高学年になってもサッカーを続けて、結局は6年生の途中まで、サッカーと勉強を両立していました。
割とおっとりとした性格で、首都圏模試での偏差値では50は超えるが、なかなか55以上を安定的に取るのは難しい、という感じの成績でした。
6年生になった彼の志望校は、首都圏模試で62(2/1)の男子校。この男子校は毎年数回試験日を設けている、人気上昇中の学校でした。
入試まであと一か月という時期の冬期講習で、彼は毎朝必ず8時15分頃に教室に来ました。
授業は9時スタート。
授業までの時間に、自習室で勉強をしていました。
冬期講習の間ずっと、彼はそのペースを守りました。ちなみに、6年生で朝早く来て勉強していたのは彼一人です。
自分で決めたことを、変わらずに続ける。
簡単なことではありません。彼にはそれができるメンタルの強さがありました。
その年の入試がスタート。彼は、もちろん、第一志望校の試験を受けました。
初日、二日目、三日目、全て不合格でした。
講師の間でも、「やっぱり無理か…」という雰囲気が漂う中、彼は試験が終わると夕方に教室により、その日の試験の復習をして帰りました。
第二志望の学校から合格をもらってはいましたが、試験に落ち続けているのに、彼は泣きもせず弱音も吐かず、淡々と試験と向き合っているようにわたしには見えました。
そして最後の試験の日。
夕方に教室に来た彼に、「手ごたえはどうだった?」と他の講師が聞くと
「あまりできなかったかも」と言う答え。
その日も試験の復習をして帰宅しました。
夜に発表があったので、講師一同教室でその時間を待ちます。
そして発表の時間。
なんと、彼の受験番号がパソコンの画面の中にありました。
歓声を上げる講師たち。顔を真っ赤にして喜んでいる先生もいました。
最後まで諦めずに粘った、彼のメンタルの強さがもたらした合格でした。
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